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コーヒーを楽しむ

目覚めの一杯、切り替えの一杯、ホッと一息。現代人の暮らしに欠かせないコーヒー。今やコーヒーは一つの文化ともいえる。なぜ人々はそんなにもコーヒーに魅了されるのでしょうか。今回は東京でスペシャルティコーヒー専門店「COFFEA EXLIBRIS(コフィア エクスリブリス)」を営む、太田原さんに、コーヒーとの出会いやその魅力についてお話を聞きました。

コーヒーを通じて街や人を沸き立たせたい

コーヒーと出会ったのは中学生の時。先輩の家に遊びに行った時に、サイフォンで淹れたコーヒーを出してくれて、その味の感想をノートに書かせるんです。「キリマンジャロはどうだった」とか事細かに。昔喫茶店にあった、みんなが書き込むノートのような感じで。今思えば変な中学生ですね。サイフォンは見ていて面白いし、そのノートを書きたいがために遊びに行っているうちに、やっぱり憧れて。すぐサイフォンを買って友達を呼んで飲ませて、先輩の真似っこをしていました。そうしているうちに、どんどんとコーヒーに夢中になっていきます。

大人になりコーヒーから離れた仕事をしていましたが、旅行や仕事で訪れた土地では、そこで一番美味しいコーヒー屋を探したりするなど、コーヒーはずっと好きでした。軽井沢に住んでいた時、一番美味しかった「丸山珈琲」で働かせてもらえることになり、そこでスペシャルティコーヒーと出会いました。初めてスペシャルティコーヒーを飲んだ時、どれも酸っぱいけど何だか美味しくて。“なんだこのコーヒーは” と、驚きと興味が湧きました。「丸山珈琲」で働かせてもらう中で、スペシャルティコーヒーに魅了され、このコーヒーの美味しさや面白さを多くの人に伝えたいと思い、東京・下北沢で最初のお店「喫茶ミケネコ舎」を開きます。

現在は、移転に伴い名前を変えた「COFFEA EXLIBRIS(コフィア エクスリブリス)」と東府中「COFFEA EXLIBRIS  kettle(ケトル)」の2店舗で営業しています。店名の「COFFEA(コフィア)」はコーヒーの学名、「EXLIBRIS(エクスリブリス)」は「蔵書票」という意味。「蔵書票」とはその本の持ち主を明らかにするための印のこと。かつて本が貴重で回し読みをするような時代に、本の裏表紙にはり「これは私の本です」という印にしていました。デザインは何でもよく、自分の好きな物や家や人などを版画やエッチングで作っており、多種多様なオリジナルの「蔵書票」があります。

私自身が昔から本が好きで、「蔵書票」という文化も好きなこともあって、「私のお気に入りの本」を転じて「私のお気に入りのコーヒー、コーヒー屋さん」になれればという思いを込めてこの名前にしました。お店のロゴやコーヒーに付けているエクスリブリスは京都の型染作家 関美穂子さんに作って頂いています。本の間に挟んで栞代わりに使ってもらえたら嬉しいです。

東府中のお店は元々建材屋だった建物をセルフリノベーションして作りました。この物件は大家さんの、マンションばかりが増えるこのエリアに、人が集まって沸き立つような場所を残したい、できればコーヒー屋さんに入ってもらいたいという想いから「kettle」と名前がついていて、丁度、焙煎する場所を探していた私が手を挙げてお店を開くことになりました。

予算も限られている中で苦労しましたが、素晴らしい物件でしたし、今やらなかったら一生やらないと思い始めました。下北沢のお店と同様に、こちらもセルフリノベーションをしましたが、今回は自分たちだけではなく色々な人達と共に作っていきたくて、お客様や近隣の方々、ブログやSNSでボランティアのお声掛けをしたところ、多くの方々にお手伝い頂き、ほぼ廃墟のような状態でしたが、みなさんの協力のお陰で無事お店を開くことができました。開店から7年経ちましたが、更に地元に密着し、盛り上げていけるよう頑張ります。

自分だけのコーヒーの楽しみ方を見つけよう

コーヒーの魅力の一つはその多様性です。生産国、品種、焙煎度合、様々な抽出方法など、多様性を楽しむ飲み物です。淹れ方だけでもいろいろあります。ペーパードリップは淹れる楽しみがあり、ネルドリップは淹れている所作が美しい。サイフォン式は見ていて楽しいですし、コーヒープレスは淹れ方がとっても簡単で、誰でも美味しく淹れられます。

あるお客様は、朝、どんなに忙しくても豆からゴリゴリ挽いて丁寧にドリップ。そうすると気持ちも落ち着いて良い一日のスタートが切れるそうです。「コーヒーを淹れる」という行為をこころを整える儀式みたいに生活に取り入れています。また別の方はトースターをコーヒープレスの4分タイマー替わりに使って、パンとコーヒーを同時に作って時間を節約しています。かと思えば自分が淹れたコーヒーが美味しくないとテンションが下がるので、朝は必ずコーヒー屋さんで飲む方もいらっしゃいます。朝だけでも人それぞれ、コーヒーの飲み方、楽しみ方も違うものです。自分の生活スタイルにあった淹れ方を選んで、ご家庭でも美味しいコーヒーを楽しんで下さい。

私自身は前日焙煎したコーヒーの再チェックをかね、コーヒープレス2つ分抽出します。チェックが終わったら自分と奥さん、朝早く来る焙煎のスタッフの分3つに取り分けて、美味しいパン屋さんで買ったパンと一緒にシンプルな朝食にしています。チェックの終わったコーヒーは大好きなアーティスト、こばやしゆふさんのどっしり大きなマグに入れ、牛乳を沢山入れてカフェオーレにして飲んでいます。コーヒーだけでなく、それを入れる器も好きなものを使うとコーヒーを淹れたり、お料理したり、飲んだり、食べる事がもっと楽しくなる気がします。

PROFILE

COFFEA EXLIBRIS

太田原 一隆さん

東京・下北沢で、スペシャルティコーヒー専門店「COFFEA EXLIBRIS(コフィア エクスリブリス)」と東府中「COFFEA EXLIBRIS  kettle(ケトル)」の2店舗を営む。